最近の探査
最近の探査
セール・ロンダーネ山地・ナンセン氷原での隕石探査-ベルギーとの国際共同オペレーション-
第54次南極地域観測隊(JARE-54)では、平成24年12月1日-平成25年2月14日、日本隊とベルギー隊との合同によりセール・ロンダーネ山地南方のナンセン氷原で隕石探査を行いました。その結果、総重量約75kg、合計約420個の「あすか隕石」を採集しました。採集した隕石には18kgの巨大なコンドライトをはじめ、炭素質コンドライトやエコンドライトの稀少な隕石が含まれます。
探査には、日本から研究者3名と野外観測支援担当1名、ベルギーから研究者5名と野外観測支援担当1名の計10名が参加しました。
今回探査を行ったナンセン氷原のエリアはJARE-29以来探査が行われていないため、多くの新たな「あすか隕石」が見つかることが期待されていました。
調査方法
ベルギー基地より100 km南のナンセン氷原のベースキャンプ地には、ベルギー基地のサポート隊により、モジュール橇、コンテナ橇、燃料、および食料が雪上車で運ばれ、隊員はスノーモービルで移動しました。ナンセン氷原には1ヶ月半滞在し、期間の半ばには、ベルギー基地の雪上車の支援を受けて、ベースキャンプ地を移動しました。
隕石探査では、1人1台ずつスノーモービルに分乗し、V字形状になって、裸氷帯を進みました。連続して12日間悪天候により探査できないなど期間の半分程度は停滞したため、探査できたのは約18日間にとどまりました。
隕石の採集
写真のように、裸氷上に発見された隕石は、まず発見地点のGPSデータを取り、写真を撮影します。そして発見者の名前と日時とともに記録し、手で直接触れずにチャック付きのポリエチレン袋に直接収納します。
採集した隕石はすべて冷凍により持ち帰ります。そして、隕石の酸化を防ぐため、国立極地研究所内で、還元雰囲気下で解凍されます。
探査を終えて
新たに採集した貴重な隕石試料は、太陽系の起源と進化の解明のために役立てられます。また、採集した隕石の分布や落下年代を調べることにより、今後、隕石集積機構の解明にも寄与していきます。