保管
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南極は、人間の活動域から最も離れた場所にあり、人為的な汚染が非常に少ない清浄な環境です。このような環境にあった隕石を保管し、その科学的価値を最大限に生かすために、特別な工夫がされています。
南極隕石ラボラトリーの隕石保管庫には、日本の南極地域観測隊(JARE)が回収した南極隕石のすべてが保存されています。現在、その総数はおよそ17,000個(そのうち、約9,000個が分類・公開済み)になります。
隕石保管庫は、クラス10,000のクリーンルーム(30cm立方体中に0.5ミクロン以上の微粒子が10,000個以下)であり、常に温度20度、湿度50%以下に保たれています。温湿度を一定条件に保つことにより、隕石の風化を防いでいます。
このような環境でも、隕石の保存は完全ではありません。数年以上前の切削面や破断面には、自然鉄に錆が生じてくることがあります。また、近年の夏の猛暑により外気が30度を超えた場合など、空調の能力を超えてしまうケースもあります。今後は、より外環境の影響を受けにくい保管システム(窒素封入や真空キャビネット)を導入することなどが課題となっています。