南極隕石と探査
隕石について
宇宙空間から地球上に落下した大きさ1ミリ以上の固体物質をいいます。地球大気圏突入時に表面が溶融するため、黒色ガラス光沢の溶融被膜で覆われているのが特徴的です。同じく宇宙からの落下個体でも、1ミリより小さいと「宇宙塵(うちゅうじん)」と呼んで区別します。
隕石の多くは、その形成年代が共通して46億年と古いことが特徴として挙げられます。この年代は、プレートテクトニクスによる継続した火成活動が起きている地球の岩石からは決して見つかりません。したがって、物質から得られる年代値として最古です。また、コンドライト(下記参照)の元素存在度は、水素やヘリウムといった岩石や金属にあまり取り込まれない揮発性元素を除けば、太陽大気の元素存在度と類似していることが知られています。このことは、コンドライトが太陽系形成時にできた物質で、そのあと大きな変化を受けていないことを示唆します。
隕石の多くは、火星と木星軌道の間の小惑星帯の小天体に起源があるとされています。こうした小天体では、内部に熱を溜めないため大規模な火成活動が起きませんでした。このため、隕石は、始原性と初期の年代を保存しているわけです。
隕石の種類
隕石の多くは、大きさ1ミリ以下の多数のコンドリュールから構成されるコンドライトです。
コンドリュールは、一度融けた岩石や金属の液滴が急速に冷えて固化したときにできたものです。こうして固化したコンドリュールが集まったのが、コンドライトです。コンドリュールを形成する熱源などその形成機構には諸説ありますが、一般的には、現在の惑星系ができる前の原始太陽系星雲における衝撃波加熱などにより岩石や金属などの前駆物質の塵が急激に溶融し、その後急冷して形成されたと考えられています。
コンドライトは、その化学的特徴に基づいて、普通コンドライト、炭素質コンドライト、エンスタタイトコンドライト、などに区別されています。また、コンドリュールの明瞭度は、天体での熱変成の程度を反映することから、岩石学的タイプを数字で区別したりします。
コンドライトでない岩石質の隕石をエコンドライトと呼んで区別します。エコンドライトは、小惑星ベスタ、月、火星など分化した天体のかけらです。そのほか、隕鉄や石鉄隕石などが知られています。同じ種類である隕石であっても、隕石ごとに固有の特徴を示すことが多いため、たくさんの隕石を調べることが太陽系の生成過程の理解に重要です。